カモメの仲間(2)

写真リスト
ウミネコ カモメ


ある漁村に、夫と旅したときのことです。

宿のそばに「夕日がきれい」とうたわれている小さな岬があったので、
私たちは、散歩がてら登ってみることにしました。
岬の頂上に続く遊歩道の左斜面は、ウミネコ の集団営巣地になっていて、たいそうにぎわっています。

「あれ、ヒナがいるよ。ほら、あそこ。」

「ほんとーっ、カワイイねえ!!」

はじめは、遠目にヒナの姿を見ながら「ルンルンッ」と登っていました。
しかし、登るにつれて、だんだん様子が変わってきました。
もう少しで頂上という辺りまで来た頃には、歩道にヒナがあふれ、 私たちの足元を右往左往しているのです。

親鳥たちは、すぐ脇の杭の上にどっしり構え、尖ったくちばしを光らせています。

(無防備なヒナがこんなに近くにいて良いハズがない・・・。)

私たちは、本能的に、この場に漂う「危険な雰囲気」を感じて、立ち尽くしてしまいました。

「な、なんか、踏み入れては行けない聖域に紛れてしまったようだよ・・・。」

頂上へ向かおうにも、ヒナ。 ひき返えそうにも、ヒナ・・・。
(まずい、このままでは、下山できずに遭難してしまう・・・。)

私は、今日泊るはずだった宿のある方向に目を向けました。

・・・と、男の人が一人、果敢にも私たちのところへ登ってくるではありませんか!
(ああ、良かった!救助隊員が・・・!)

彼は、足元のヒナも、神経質な声をだして鳴く親鳥の存在にも、 気がつかないかのようにおんなじ歩調でせっせっと登ってきます。

(さすが、救助隊員!!)

しかし、どうしたわけでしょう・・・。 彼は、救助すべき「私たちの存在」にも気がつかないまま、
脇をスルーして行ってしまったのでした・・・。

結局、私は、へっぴり腰になっている夫を盾にして、オッカナビックリ自力で下山したのでした。

*これは後に知ったことですが、 彼らはあのごった返したコロニーの中にもそれぞれ小さな縄張りを持っていて 、ちょっとでも踏み込むと、
ヒナといえども容赦なくつつかれてしまうそうなのです。

歩道のヒナたちはきっと、私たちから逃げたくても、よその縄張りに入ってしまうので、
逃げられなかったんでしょうね。

なんか、かわいそうなことしたなあ・・・。

でも、そんな過酷な環境で育ったヒナは、きっとたくましい子に成長するんでしょう。

いや、是非そうであってほしいものです。(SHIMIZU)

お〜い、その人、何者だったんだよ〜? 気になって夜も眠れません。
(会議中寝てしまうっす^^;)(CHINO)


日本で繁殖するカモメはウミネコとオオセグロカモメです。

どちらも集団で繁殖します。繁殖地に行くと、そこらぢゅう、カモメだらけです。 そして、頭上からは容赦なく、カモメのンコがふりそそぎます。

だから、八戸の蕪島では、観察者用にビニールの透明傘を貸し出してくれています。

ありがたいのですが、結構なお値段だったような記憶があります。ま、いっか。

(KOZONO)


●ウミネコ(Larus crassirostris

 いちばん普通に見ることの出来るカモメかも。
しっぽの先の黒い帯が特徴です。足は黄色。(KOZONO)

【撮影者】 I.SHIMIZU


●カモメ(Larus canus

 カモメの仲間の中では、やさしい顔つきをしていると思います。
ただのカモメって名前の割には、そんなに出会いの機会は多くないような気がするのは私だけ?
(KOZONO)

【撮影者】 M.FUKAGAWA 【データ】 1994年1月4日 北海道落石       Nikon ED400mm F3.5 RDP    【コメント】冬の北海道は鳥が少ないが、カモメ類はけっこう見れる。でもとても寒い。


次は、小さめのカモメの仲間をどうぞ。

(KOZONO)