Vol.22 アジサシの仲間〜その3〜
(チドリ目カモメ科19種)

夏のイメージを伴うアジサシ類は、やはり南の島に多く見られる。

日本でも多くのアジサシ類が繁殖しているが、多くは南の島だ。

ここでは南の島々で観察されるアジサシの仲間を紹介する。

(KUBOTA)

 

写真リスト

オオアジサシ  ベニアジサシ  エリグロアジサシ  クロアジサシ

◎「奄美大島のハブと長靴」

奄美大島は南国の島。
そこで見るべき鳥はたくさんいて、超・楽しみな計画であった。
     「今度奄美大島に行くんです!」

周りの人たちに言うと、
     「いいねぇ!」 と声を掛けられる。

しかし、行った事のある人なら必ずこう言うのだ。
     「ハブがいるから気を付けな。」

あぁ、そうだった。恐怖の毒蛇@ハブがいるのだ。
     「草むらには絶対に入らない方がいいよ!」 と、念を押される。

未知の敵に対する恐怖は募る。
ハブは赤外線で相手を見るので、素肌を出すのは厳禁だ。
最大の防御策は長靴を履くことらしい。
     「トグロを巻いてる時は危ないからね!」 どうやら、ハブは飛ぶらしい。

¥8,000円を投じて、カッコイイ長靴を購入した。
バックの中に、望遠レンズの次に大荷物になった長靴を抱えて奄美大島に飛ぶ。

セレベスコノハズクや、アマミヤマシギを探す夜の外出は最大級の危険タイム。
夜行性の爬虫類に気を付けながら道を歩く。
昼間でも、木陰や草むら、物陰に注意しながら、アカヒゲルリカケスを探し回った。
鳥は多くて楽しいのだが、如何せん、場所は南国。
ジーパンに長靴を履いて歩くのはかなり暑い。相当暑い。しかし、ハブに噛まれたらそれどころではない。

その装備は、もちろん、浜でのアジサシ探しでも怠ることは無かった。
車(レンタカー)から降りて、浜までの間にも草むらがちょこちょこあるからだ。

地元の子供は、日焼け防止か?Tシャツを着て海水浴をしている。
長靴姿に超望遠レンズを担ぐ我々は、干潮時に出現する岩礁を1kmはあろうかという沖の先端を目指して出発する。
海パンにサンダル履きだったらどんなに気持ち良いだろうかと考えながら、 岩礁を歩くのに、長靴は結構都合が良かった。

良く見ると岩礁は珊瑚礁だった。
遠目には遥か沖までまっ平で、白い砂も珊瑚の砂。先端付近には、あちらこちらにベニアジサシの群れが降りていた。
我々に気付いて青空に舞うベニアジサシ
シャープな顔立ちのエリグロアジサシも何羽か混ざっている!
     「さぁ、アジサシの写真を撮ったら、長靴を脱いで泳ごうか!」

結局、ハブは一度も見ることが無かった。

当の長靴は最近、釣りで活躍している。

(CHINO)


●オオアジサシ (Thalasseus bergii

日本では南西諸島や小笠原で夏に観察されるが多くない。本土でも稀に海沿いで記録されている。飛んでいる感じは、ゆったりとした羽ばたきで優雅だが、その速度はかなり速い。
(KUBOTA)

【撮影者】 M.FUKAGAWA 【データ】 1998年9月23日千葉県三番瀬       NikonF3 ED800mmF5.6 RDP2 【コメント】この鳥もなかなか見れませんでした。1977年9月11日に浦安付近でみて東京支部報に       報告したことがあったのだけど、そいつはどうもヒガシシナアジサシらしいことが       後から分かって、その後は縁がありませんでした。それでやっと見れた個体なのですが、       イマイチ汚いですね。あいそは良かったけど。


●ベニアジサシ (Sterna dougallii

よく夏の観光写真に登場するのが、この鳥だ。海岸を群れで飛び交う姿は、夏っぽくっていい。
(KUBOTA)

【撮影者】 Y.CHINO 【データ】 1993年 8月14日 鹿児島県奄美大島大瀬海岸       Nikon F801S Nikkor ED500mm F4P開放 RVP 【コメント】台風で非難してきたベニアジサシを波崎で見たことがあって       この時は2度目でしたが、お腹まで赤くなっていてびっくり。       真っ赤な嘴と足が水面に反射して、白いお腹に写っていたのです。


●エリグロアジサシ (Sterna sumatrana

涼しげな顔をしたカッコイイアジサシである。南の島でアジサシに囲まれながら、海を見てボーッとしていたいなぁ。
(KUBOTA)

【撮影者】 M.MATSUDO


●クロアジサシ (Anous stolibus

その名の通り真っ黒なアジサシだ。頭のてっぺんがちょっと白いだけで、あとは完全に真っ黒だ。ここまでモノトーンで統一していると、見ていても気持ちがいい。
(KUBOTA)

【撮影者】 F.SASAKI 【データ】 1995年7月28日 小笠原諸島父島 Pentax Z-50P  Pentax ED600mmf5.6 RA(SensiaU) <br> 【コメント】日差しがめちゃくちゃ強い小笠原において、この黒ぽい体はいかにも暑そうだった。<br>       でも紫外線を防ぐにはいいんでしょうね。この写真を撮った日の夜、日焼け止めを<br>       塗っていなかった私の唇は大変なことになりました。<br>


次は、アジサシの仲間その4です。

ちょっと珍しいアジサシ類を紹介します。(KUBOTA)